疾患名 ア)


@ Ig A欠損症〔dysgammaglobulinemia A〕

 免疫グロブリンのうちIg Aのみを欠損したもので、免疫不全症候群の一つ。血清Ig Aが5mg/dl以下になった場合をいう。原発性は遺伝性、染色体異常などによる。続発性は薬剤、自己免疫、ウイルス感染後などによる。その背景には遺伝的・人種的因子、環境因子が存在する。慢性関節リウマチなど他の自己免疫疾患を随伴することが多い。

A Ig A腎症〔Ig A glomerulonephritis〕

 腎糸球体にIgAが沈着することに基づく慢性糸球体腎炎。若年者に多い。症状の程度はさまざまで、ほとんどないものから急性腎炎類似の症状を呈するものまである。進行すると、無症候性血尿から肉眼的血尿を認めるようになる。その80%に持続的な蛋白尿と、50%以上に血清IgA濃度の上昇をみる。免疫複合体に基づく疾患と考えられているが、その抗原の正体はわかっていない。予後は比較的よいが、進行性に腎機能の低下する例もある。

B 亜急性甲状腺炎〔subacute thyroiditis〕

 発熱、全身倦怠感、咽頭部・前頸部痛などで始まる比較的経過の長い甲状腺の炎症。自己免疫に基づく慢性甲状腺炎とは異質の、おそらくウイルス感染症と考えられる。しかし、その確証はない。甲状腺が有痛性に腫脹し、結節を触れる。血沈の著しい亢進、体重減少、初期には甲状腺機能亢進の症状を呈し、しかも甲状腺摂取率の低下を特色とする。自然に経過し、ほとんどの場合、甲状腺の機能障害は残さず、完治する。

C 悪性黒色腫〔malignant melanoma〕

 表皮の基底部、毛根などに分布するメラニン生成細胞の悪性疾患。その発生母地から、母斑細胞が増殖する母斑性腫瘍と、メラノサイトが増殖するメラノサイト性腫瘍に大別する。母斑性腫瘍は結節型あるいは短有茎状の腫瘍で、急速に増大し、浸潤傾向が強く、初期から局所リンパ節に転移する。メラノサイト性腫瘍は表皮内に小結節が進展したもの(デュブレー前癌性黒色腫)が多く、真皮に増殖する。母斑性に比べ浸潤傾向は弱く、転移も少ない。真皮内のメラノサイトが増殖した細胞性青色母斑もある。また、メラニン生成細胞が存在する網膜、軟脳などにも発生することがある。

D 悪性症候群〔syndrome malin〕

 ハロペリドール、フルフェナジンなどの向精神薬の副作用の一つで、きわめて重篤で、死亡する例もみられる。服用後5〜15日の間に発生することが多い。原因不明の発熱で始まり、ときに40℃を超える。発汗、頻脈、唾液分泌、最高血圧低下などの自律神経症状が急速に現れる。無動、筋強剛、筋痙攣、球麻痺症状などの神経症状、精神運動性興奮から昏迷に至る精神症状も伴う。発熱は解熱剤に不応で、放置すれば昏睡に陥り、死亡する。現在のところ、原因は特定されていない。

E 悪性貧血〔perinicious anemia〕

 胃内因子の欠乏によるビタミンB12吸収阻害に基づく貧血。高色素性貧血、巨赤芽球の出現を特色とする。内因子は胃壁細胞より分泌されるムコ蛋白で、ビタミンB12は骨髄における赤血球の成熟に必須の物質である。B12を欠損すると巨赤芽球の出現をみる。内因子の欠乏は進行性の胃粘膜壁細胞の萎縮に基づくもので、その原因は不明である。貧血症状のほかに脊髄神経障害を呈する。

F 悪性リンパ腫〔malignant lymphoma〕

 リンパ組織が悪性に増殖する疾患の総称。ホジキン病と非ホジキン病とに大別され、非ホジキン病にはリンパ肉腫、細網肉腫、濾胞性リンパ腫などが含まれる。ホジキン病は肉芽腫病変から始まり、腫瘍性病変に進行するもので、組織中にリード−シュテルンベルグ細胞と呼ばれる直径20〜50?mの巨細胞が出現する。比較的若年に発生し、しばしば頸部リンパ節が侵される。初発リンパ節から隣接領域に広がっていく。非ホジキン病はリード−シュテルンベルグ細胞を欠くもので、しばしば扁桃ワルダイヤー輪、消化器、皮膚に節外リンパ腫として発症する。ホジキン病に比べ多様性がみられ、早期に骨髄、肝に転移する。

G アジソン病〔Addison disease〕

 慢性副腎皮質不全症のうち、副腎皮質が原発性に侵された場合をアジソン病といい、下垂体疾患などで二次的に起こったものと区別する。

H アシドーシス〔acidosis〕

 体液の酸塩基平衡が崩れ、酸性に傾いた状態。アルカローシスと逆の概念。酸塩基平衡は相対的なものであるため、重炭酸イオン(HCO3−)が低下した代謝性アシドーシスと、炭酸イオン(CO2+)が上昇した呼吸性アシドーシスとに分ける。呼吸性アシドーシスは肺でのCO2排泄が障害され、動脈血中にCO2が蓄積された状態である。高度になると意識障害、神経症状などが現れる。代謝性アシドーシスの原因としては、糖尿病や飢餓などによるケトン体の生成、急激な運動後の乳酸の蓄積、尿毒症における酸塩基平衡障害などがあげられる。

I アセトン血性嘔吐症〔acetonemic vomiting〕

 2〜6歳の幼児に多くみられ、特に原因がないのに無欲状態、嗜眠傾向、食欲不振に陥り、食べ物を無理に与えると悪心、嘔吐する。あくび、顔面蒼白、全身倦怠感などがみられ、血中、尿中にケトン体の著増を特徴とする。重症ではコーヒー残渣様嘔吐、脱水症状をきたす。呼気にアセトン臭がある。しばしば反復する。ストレス、アレルギー、気候変化などが原因と考えられている。

J アダムス‐ストークス症候群〔Adams-Stokes syn-drome〕

 心臓の刺激伝導障害により心拍が一過性に停止した結果、血流障害をきたし、そのために発作性に起こす意識障害のこと。軽いものではめまい、高度では失神、てんかん様痙攣、顔面蒼白、一過性の脈拍停止などがみられる。呼吸はチェーン‐ストークス呼吸となる。通常数秒〜数分で回復する。

K アデノイド〔adenoid, adenoid vegetation〕

 咽頭円蓋のリンパ組織が腺様に増殖、肥大したもの。いわゆる“扁桃腺”の肥大である。小児期に多くみられる。原因は不明。鼻閉塞があり、口呼吸をするためアデノイド顔貌と呼ばれる特有の顔貌を呈する。いびき、鼻声などもみる。歯列不正、精神発育遅滞、頭重もある。慢性中耳炎を起こしやすく、それが原因で難聴をきたすこともある。一般に上気道の炎症性疾患に罹患しやすくなる。

L アトピー性皮膚炎〔atopic dermatitis〕

 遺伝的過敏症で、いわゆるアトピーを素因として起こる疾患の一つ。正常人では何ら反応しない抗原量で抗体を産生し、皮膚症状を現す。多くは幼児期に治癒するが、成人期にまでもち越すものもある。乳児期は顔、頭部を中心に紅斑、漿液性丘疹が広がり、湿潤、結痂して落屑を生じる。幼児期には四肢伸側に丘疹、屈側に苔癬を生じる。成人期には乾燥化し、肘窩、膝窩、前額などに苔癬が生じ、皮膚は肥厚する。

M アナフィラクトイド紫斑〔anaphylactoid purpura〕

 シェーンライン-ヘノッホ紫斑病

N アニサキス症〔anisakiasis(ラ)〕

 鯨などを最終宿主とする線虫類アニサキス属の幼虫がヒトに寄生したもの。アニサキス属はプランクトンを第1中間宿主、イカなどを第2中間宿主とするらしい。人体への侵入は第2中間宿主の摂取による。ヒトでの寄生部位は胃腸粘膜で、肉芽腫を形成する。急性腹症の中に本症に基づくものがある。

O アフタ性口内炎〔aphthous stomatitis〕

 口腔粘膜に直径1cm以内の円形の偽膜性線維性炎症局面を生じた状態。炎症局面の周囲には紅暈を伴う。真の原因はわかっていない。乳児期にみられるものは疱疹ウイルスが原因とされる。疼痛が強く、摂食が困難となる。ベーチェット病患者で高頻度にみられる。

P アポロ病〔Apollo disease〕出血性結膜炎

Q アルカローシス〔alkalosis〕

 体液の酸塩基平衡がアルカリ性に傾いた状態。アシドーシスに対応する。代謝性、呼吸性がある。一つは酸の喪失で、もう一つはアルカリの蓄積に基づく。代謝性アルカローシスは頻回の嘔吐で、胃酸が欠乏した場合に起こる。一方、呼吸性アルカローシスは換気が促進した場合(過換気症候群、ヒステリー)などに生じる。

R アルコール依存症〔alcohol dependense〕

 アルコール飲料の過剰摂取を抑制できず、精神的、肉体的に依存した状態。常に酩酊状態を求めて飲酒するが、アルコール体制が上昇しているため、酩酊状態に入るまでに大量のアルコール飲料を要する。また、酩酊状態といっても、ほろ酔いとは異なり、いわゆる泥酔状態に陥り、意識障害もみられる。飲酒をやめると振戦、戦毛、せん妄、痙攣などアルコール離脱症状が現れる。慢性アルコール中毒として、肝障害、胃腸障害、栄養障害などを伴うことが多い。

Sアルツハイマー病〔Alzheimer disease〕

 老年痴呆の一型。脳全体の萎縮と脳室の拡大が著しく、老人斑(神経突起シナプスの変性とアミロイドが一体となった物質)の出現、顆粒空胞変性、アルツハイマー神経原線維の変性が特徴である。物忘れから徐々に始まり、記銘力障害、見当識障害が現れ、やがて知能が低下し、人格変化が起こる。末期では人格が崩壊する。

21)アレルギー性鼻炎〔allergic rhinitis〕

 鼻粘膜のアレルギー反応に基づく炎症症状。主な症状はくしゃみ、水様性鼻汁の分泌である。鼻粘膜には浮腫をきたし、著しくなると鼻閉塞となる。鼻粘膜掻痒感、眼瞼掻痒感などを伴う。抗原には化学物質、花粉、塵などがある。日本で春に多くみられる花粉症は、スギ花粉が抗原となったアレルギー性鼻炎である。







アース中毒
アーノルド・キアリ奇形、胎児治療
アイゼンメンゲル症候群、妊娠
亜鉛欠乏症
亜鉛欠乏性味覚障害
亜鉛中毒
赤インク誤飲
アカシジア、向精神薬の副作用
アカントアメーバ
アカントアメーバ結膜炎
亜急性感覚性ポリニューロパチー
亜急性硬化性全脳炎
亜急性甲状腺炎
亜急性小脳変性症
亜急性脊髄連合変性症
亜急性連合性脊髄変性
アキレス腱周囲炎
アキレス腱断裂
悪性エナメル上皮腫
悪性眼球突出(症)
悪性関節リウマチ
悪性原発性骨腫瘍
悪性高血圧
悪性高熱症
悪性黒色腫
悪性腫瘍と神経障害
悪性腫瘍に伴う貧血
悪性症候群、向精神薬の副作用
悪性腎硬化症
悪性線維性組織球腫
悪性貧血
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫、消化管の
アコニチン中毒
アジソン病
アジド中毒
アシネトバクター
アジマリン中毒
亜硝酸中毒
アストロウイルス
アスピリン喘息
アスピリン中毒
アスペルガー症候群
アスペルギルス(症)
アセタケ中毒
アセトアニリド中毒
アセトアミノフェン中毒
アセトアミノフェンによる肝障害
アセトン中毒
アセフェート中毒
あせも
あせものより
アダムス・ストークス発作
アタラックスP中毒
アテトーシス
アデノイド
アデノウイルス
アデノウイルス結膜炎
アデノシンデアミナーゼ症
アテローム血栓性(脳)梗塞
アトピー性気管支喘息
アトピー性乾皮症
アトピー性皮膚炎
アトピー痒疹
アトラキシン中毒
アドレナリン中毒
アトロピン中毒
アナフィラキシー型薬疹
アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショック、カテコラミン投与法
アナフィラキシーショック、ハチ刺症
アナフィラクトイド紫斑
アニサキス症
アニリン中毒
アブアレルギー
アフェレーシス療法、神経筋疾患の
アフタ
アブミ骨開窓術
アブミ骨摘出術
アフリカトリパノソーマ症
アポC−U欠損症
アポプロン中毒
アマニタトキシン群中毒
アミオトロフィー
アミサリン中毒
アミトリプチリン中毒
アミノピリン中毒
アミノフィリン中毒
アミロイドーシス
アミロイド骨症
アミロイド骨嚢腫
アミロイド苔癬
アメーバ症
アメーバ性肝膿症
アメーバ赤痢
アメリカ鉤虫
アメリカトリパノソーマ症
アリアレルギー
亜硫酸ガス中毒
アルカリ中毒
アルカリ電池中毒
アルコール依存症
アルコール性肝炎
アルコール性肝硬変
アルコール肝障害
アルコール性肝線維症
アルコール性脂肪肝
アルコール性心筋障害
アルコール性大腿骨頭壊死症
アルコール性ニューロパチー
アルゼンチン出血熱
アルツハイマー型痴呆
アルボウイルス
アルポート症候群
アルミニウム骨症
アルミニウム肺
アレスリン中毒
アレビアチン中毒
アレルギー性気管支喘息
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
アレルギー性結膜炎
アレルギー性紫斑病
アレルギー性じん麻疹
アレルギー性接触皮膚炎
アレルギー性肉芽腫性血管炎
アレルギー性肺炎
アレルギー性肺臓炎、職業性
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎、職業性
アロテック中毒
アロプリノール中毒
アンキリン・スペクトリン異常
アンダーセンシング
アンタブースD中毒
アンチピリン中毒
アンツー中毒
アンテルミンチョコ中毒
アンドロゲン産生副腎腫瘍
アンピシリン中毒
アンフェタミン中毒
アンボイナ刺症
アンモニア中毒