ヘルスサイエンス「心の健康相談室」

 Q&A集

■大学受験をひかえての恋愛はやめた方がよいのでしょうか?

相談

 17歳の高3です。大学受験をひかえています。私は地方の女子校で、これまで男の子とつきあったことはありません。ところが、今年の夏、予備校で仲良くなった男の子のことを好きになってしまいました。夏期講習が終わってから、一度二人で映画を見に行きました。その後は電話で話をしています。前よりも好きになってしまいました。友達に相談すると受験が終わるまで恋愛はしないほうがいいと言われました。どうしたらいいのでしょうか?

回答

 いままでの相談の経験から言えば、恋愛を受験のバネにして成功した女の子は3割くらいです。恋愛は受験のバネにもなるし妨げにもなります。一般的に恋愛では夢中になってしまったほうが多くのものを失います。恋愛に夢中になりすぎると勉強がおろそかになり受験に失敗するのは当たり前のことです。ですからしないでいいのなら恋愛はしないほうがいいでしょう。でも、好きになってしまったものをあきらめるというのは、実際にはつらく難しいものです。恋愛はしないと決めても勉強中に好きな男の子のことばかり頭に浮かんで勉強に身が入らないのでは逆効果です。それほど強い気持ちならいっそきちんとつきあってみるのもいいでしょう。しかし一定の交際のルールを決めて会うようにしたほうがベストです。たとえば、週に1回2時間までとか、週に1回二人で図書館で勉強するとかです。
 一番いいのは、同じ大学を第一志望にして二人でガンバルことです。学力のレベルが同じくらいならもっとも効果的です。レベルが離れているのなら同じ大学を志望校にするのはやめたほうがいいでしょう。どちらかが下のレベルに合わせる結果になるからです。
 セックスはしない方がいいでしょう。セックスがいけないとは言いませんが、ただ、あなたがセックスの経験者なら、セックスが男と女を夢中にさせる要素が強いことを知っているはずです。特に18歳くらいの男の子は一度セックスの相手を見つけると毎日でもしたくてしたくてたまらなくなるものなのです。そうなると彼の存在はあなたの勉強時間や集中力を失うもとになるでしょう。
 もしあなたがセックスの未経験者なら間違いなくやめておいた方がよいでしょう。初めてのセックスはあなたをいろいろな意味で戸惑わせます。それに適応するまでに2、3ヶ月の時間が無為に流れてしまうかもしれません。
 結論をいうと、もしあなたが、彼を好きで好きでどうしようもなく会わずにはいられないのなら、週に1、2度会うくらいのことはいいでしょう。でも、セックスは絶対にしないことです。もしあなたが彼に会わなくてもなんとかやっていけそうなら交際は受験後までとっておきましょう。大学受験は、あなたの人生の最大のポイントの一つです。いっときの恋に惑わされることのないようにしっかり頑張ってください。 
 最後に東洋医学の話をしますが、精神状態を安定化させる「陳皮」「半夏」という生薬を含む漢方薬を積極的に服用し、集中力を上げる「天柱」「風池」というツボを刺激してください。これで、少しは冷静になれるはずです。(注)漢方薬は、できるだけ優秀な医師、薬剤師に相談の上、必ず自分の体質に合ったものを服用してください!


■男の子とはじめてお付き合いをしていますが、最近彼が身体を求めてきます。どうしたらよいでしょうか?

相談

15歳の中3です。高3の男の子とつき合い初めて3ヶ月です。彼のことは大好きなのですが、最近、身体を求められて困っています。私は、大好きな男の子に処女を捧げるのは構わないと思っているし、彼とエッチをするのがイヤというわけではありません。でも、少し早すぎるような気がします。友達の中には、つきあってもいない男の子とさっさとエッチしてしまう子がいますが、そういうのは私はイヤです。少なくとも、1年くらいはつきあってからにしたいと思います。それにそういうのは高校生になってからでもいいと思います。でも、彼は、「なんでつきあっているのにさせてくれないんだ」というようなことを言います。彼とはキスまではしています。これからどうしたらいいのか教えてください。

回答

 あたりまえの話ですが、あなたが処女を捧げることのできる男性は、人生の中でたった一人です。あなたのつきあっている彼が、それに値する男性かどうか冷静に考えることです。あなたは、自分を冷静に見ることのできる女の子のようですから、冷静に事を考える能力はあると思います。
 一般的に言って、15歳で初めて男の子とつきあって、その彼に処女を捧げてしまうのは早すぎると思います。それは、あなたの考える通り正しいと私は思います。大事な処女なのですから、1年といわず、2年や3年はつきあってからでも、全然遅くはありません。
 あなたの彼は、すぐに身体を求めてくるそうですが、これは注意したほうがいいでしょう。男の子は、本当に好きで好きでたまらない女の子に対しては、なかなか身体のことは切り出せないものなのです。もし、そんなことを言って嫌われたらどうしよう、と考えてしまうからです。ですから、ひょっとすると、彼はあなたのことをあまり大切には考えていないのかもしれません。それを見極めるには、やはり何年かつきあってみる必要があるでしょう。
 彼の求めをさける方法とは、いま私が書いたことを、あなたの口からはっきりと彼に伝えることです。あなたの彼に対する気持ちをこめて、誠心誠意で話せばきっと彼はわかってくれます。もし、そんな、あなたの気持ちをわかってくれない彼なら、大好きでも一度は距離を置いてみるのもいい方法だと思います。
 それと、10代の男性というのは、ひどい言い方かもしれませんが、性欲のかたまりみたいなところがあるのです。誰でもいいからとにかくエッチしたい、と考えている男の子も多いはずです。ですから、女の子はその点を特に注意するべきだと思います。
 最後に東洋医学の話をしますが、精神を安定化させる「柴胡」「芍薬」を含む漢方薬と女性ホルモンのバランスを整える「当帰」を含む漢方薬を併用してみることです。これで精神面のストレスが緩和して安定した毎日を送れます。
(注)漢方薬はできるだけ優秀な医師、薬剤師にご相談の上、必ず自分の体質に合ったものを服用してください!




■毎日明け方近くまで眠れない

相談

なかなか眠れません。明け方近くまでぐずぐずしていて、眠っても眠りが浅く、疲れがとれません。ほとんど毎日そういう状態なので、会社にいても頭がボーっとして、注意されることもしばしばです。ゆったりお風呂に入ったり、アロマテラピーなども試みましたが、効果はありません。眠らなくてはと、思えば思うほど眠れなくなってしまうのです。とくに大きな心配事もありません。仕事はコンピューターを使った事務です。睡眠薬は飲んでいません。どうしたらよいのでしょうか?(27歳、OL)


回答

「夜眠れない」という経験は、誰でも多かれ少なかれあります。「不眠」というのは誰でも経験するごくありふれた状態です。日常のごく些細な出来事(たとえば、試験や旅行の前日、心配事のあった日、ベッドや枕が変わった夜、気候の変わり目など)が眠りに微妙に影響します。

人は眠ることによって心身の休養をとり、エネルギーを蓄えるのですが、眠り方は人によってかなり異なります。

一般に、7時間の睡眠が必要であるといわれておりますが、必ずしもそうではありません。毎晩5時間以下の睡眠で十分な人もおりますし、少なくとも9時間以上は眠らなければだめだという人もいます。

朝起きたときに「よく眠った」という熟睡感がなく、疲れが残って翌日の仕事に支障がある場合、「不眠症」といいます。ある調査では、日本人の約3割が不眠症であるといわれています。ストレスが多く、時間に追われる忙しい生活を強いられ、さまざまな刺激が多い現代社会では、不眠症はますます増えていくはずです。

不眠症には、いくつかのタイプがあります。

1.寝付きが悪い(入眠困難)、
2.夜中にときどき目が覚める(中途覚醒)、
3.朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)、
4.寝た気がしない(熟眠障害)

などがあります。

また、不眠症の原因には、

1.環境的なもの(騒音、気温、明るさなど)、
2.生活リズムの変化によるもの(時差ボケ、不規則な生活など)、
3.心理的なもの(心配、不安、興奮など)、
4.身体の不調(かゆみ、疼痛、身体疾患など)、
5.薬物によるもの(カフェイン、アルコール、降圧剤など)、
6.精神障害によるもの(分裂病、躁うつ病など)、
7.睡眠中の異常現象によるもの(夢中遊行、夜驚、睡眠時無呼吸症など)、
8.明らかな原因のないもの

などがあります。

あなたの場合は、明らかな原因が認められない不眠で、専門的には「精神生理性不眠」と呼ばれるものですが、最も多いタイプの不眠症です。

このタイプの人は「眠り」にこだわり、眠れさえすればすべてが解決すると思いこんでいます。夕方になると、「今晩も眠れなかったらどうしよう」と不安になり、食事に気を使ったり、ゆっくりお風呂に入ったり、香りのよいものを身近に置いて、とにかく快適な睡眠がとれるようにひたすら努力します。

このようなタイプの不眠症は、几帳面で、完全欲やこだわりの強い人にみられますが、あなたはどうでしょうか。

たまたま何かのことで眠れなかったりしますと、次の日も眠れないのではと不安になり、眠ろうとすればするほど眠れなくなります。眠ることばかりを考え、「人は8時間は眠るべきだ」と決めてかかり、家族に「寝息を立ててよく眠っていたよ」といわれても、頑固に否定します。

では、どうすると眠れるようになるのでしょうか。

まず大切なことは、睡眠に対するあなたのこだわりをなくすことです。
人によって睡眠のパターンは異なり、何時間眠らなければならないという決まりはない、ことを銘記して下さい。

次に、毎日の生活のなかで試みてもらいたいことは、天気の良い日は外出し、太陽の光をいっぱい浴びながら散歩や軽い運動をすることです。睡眠リズムをコントロールする脳の中枢が働き始めます。

何か趣味があれば、それに没頭することも効果があります。

要は、眠ることばかりを考えずに、生活の生き甲斐を見出すことが何よりも大切なのです。 

どうしてもうまくいかない場合には、精神科医か、心療内科医にご相談下さい。最近は、依存性が少ない安全な睡眠導入剤がよく用いられています。

あなたの睡眠障害のパターンをよく調べて、速効性で排泄の早い薬と、効果が持続する薬を上手に組み合わせて処方してくれます。どうしてもこだわりや不安が強いときには、日中、抗不安薬や抗うつ薬を併用することもあります。

お薬を上手に使いながら、生活の仕方、ものごとの考え方を担当医とじっくり相談して下さい。ふと気がつくと、お薬を飲まずに眠れるようになります。



■転勤になってから通勤電車に乗れない。

相談

会社員です。4月に転勤になりました。いまは営業の仕事をしています。転勤のせいかどうかわかりませんが、朝、電車に乗ろうとすると、息苦しくなり、動悸が激しくなります。二週間ほど前、めまいもして倒れてしまい、駅員の世話にもなりました。それ以来ますます電車に乗ることが怖くなり、たびたび会社を遅刻したり、休んだりしています。内科に行ってもとくに貧血などはなく、心臓にも問題がないと言われ、困っています。(39歳、男性)

回答

私たちは、ふとしたきっかけで漠然とした不安を感じることがよくあります。不安な状態になりますと、程度の差はありますが、頭痛、胃痛、動悸、めまい、胸部圧迫感、息苦しさ、冷や汗、口乾などのさまざまな自律神経症状が表れます。

初めて登校するとき、テストの前、初めてのデートのとき、新しい職場に転勤したとき、重要な会議で発言しなければならないときなど、ある種の切迫した状況になりますと、人間は誰でも不安になります。しかし、このようなハッキリとした理由のある不安は、正常な心の動きですし、不安によって精神的な緊張が高まり、集中力が増してよい結果を得ることもあるはずです。その意味では、不安は大切な働きを持っているとも言えます。

ところが、あなたのように、逃げ出すことができず、助けてくれる家族もいない通勤電車の中で、予期できない息苦しさ、動悸、めまいが繰り返し表れるようでは問題です。
あなたの場合は、内科で検査を受け、貧血もなく、心臓にも異常はないとのことですので、不安神経症、とくにパニック障害が最も考えられます。

パニック障害は、何らかのショック、心配事、悩み、ストレスなど、精神的な原因と思われるものがある場合もありますが、とくにこれといって取り上げるほどの問題が見当たらないこともあります。あなたの場合には、四月に転勤して職場が変わり、多分仕事の内容も変わったのでしょう。満員電車で通勤し、慣れない営業の仕事をするのは大変なストレスとなります。転勤前と同じ仕事の内容であったとしても、職場が変わると不安になり、どうしても過労や睡眠不足になりがちです。

このようなときに、たまたま風邪をひいたり、二日酔いであったりして、体調が悪いことがあると、突然、種々の自律神経症状が表れ、ときには「死んでしまうのではないか」とか「気を失ってしまうのではないか」と思うほどの恐怖感に襲われることがあります。あなたのように駅員の世話になることもありますが、心臓発作を疑われ、救急車で病院に運ばれることもしばしばあります。しかし、このような症状は、数分から長くても数十分ですので、病院で検査を受けるころには治まっており、検査にも異常はなく、そのまま帰されます。しかし、数日もしないうちに、また同じような状況で、同じような症状が表れ、たびたび繰り返すようになるものですから、予期不安が強くなります。 

予期不安というのは、「またあのような発作が起きるのではないか」と、症状の発現を予期して不安になることです。さらに電車や駅など、人混みの中で発作が起きたらどうしようかと不安になり、人混みの中に出ることもできなくなります。会社を休んだり、通勤時間帯を避けて、電車がすく時間帯に出社するようになり、遅刻が多くなります。

医師から「異常はない」と言われても不安はとれず、いくつもの病院を転々として、検査を繰り返し受けるようになります。初めは心配していた家族や会社の人たちも、たびたび同じような状態を繰り返している本人に冷たくなり、「病院で異常がないと言われているのに」とか「気のせいだ」と突き放すようになります。本人がどのくらい苦しみ、悩んでいるのかを理解しようとしません。たしかに内科的な検査では異常はないのですが、パニック障害という、本人にとっては耐え難い不安と苦痛を伴う状態であることを、本人、家族、ときには会社の人にきちんと説明し、この状態について正しく理解してもらうことが治療の第一歩です。 

その上で、抗不安薬や抗うつ薬を処方してもらい、どうしても強い不安に襲われそうになったときや、予期不安が出たときに飲む「頓服」も出してもらいます。薬を飲み始めますと、嘘のようにスーと症状が消失する例もありますが、半年から1年くらいは、医師の指示を守って薬を飲みながら、慎重に様子を見たほうがよいと思います。外出、通勤がどうしてもできない場合には、段階的に慣らしていく行動療法を行ないます。筋肉を弛緩させ、リラックスした状況を想像するリラクゼーション・トレーニングや、過呼吸にならないように呼吸の仕方をコントロールする呼吸訓練などもあります。

パニック障害の治療は、ただ薬だけ飲んでいるとよいというものではありません。自分の不安、悩みをじっくり相談できる専門医の治療を受けることも大切なことです。


■息子がどもってしまう

相談

三歳半の息子のことでご相談いたします。二歳半ごろまではとくに問題もなく健やかに成長してきたのですが、二歳八ヵ月ごろからどもるようになりました。ちょうどそのころに妹が生まれたので、それが原因かとも考えております。このごろはどもることがひどくなって、家の外では話さなくなり、おねしょもするようになりました。
(母親24歳)

回答

二歳半から五歳くらいの間は、ことばの数が急に増え、お話しが活発になる時期です。この時期の子どもは、近所のお友だちとの遊びに没頭し、幼稚園・保育所で楽しいことをいっぱい経験し始めます。幼い子どもは、ワクワクするような楽しい経験を両親に少しでも早く話そうと、息せききって帰ってきます。話したいことが頭の中にいっぱいあり過ぎて焦ってしまい、話し方のリズムが乱れてしまうことがあります。これが、いわゆる「どもり」といわれる現象なのです。

ことばが発達する段階では、どの子どもも多かれ少なかれこのような現象を示すものです。ほとんどの場合、だれも気づかぬ内にリズムの乱れは消え去り、自然な話し方をするようになるのですが、ときにはリズムの乱れが長く続いてしまうことがあります。

誰でも良く経験することですが、興奮すると話すリズムが乱れてしまい、どもってしまうことがあります。その意味では、話しことばのリズムの乱れは、きわめて普通の現象であり、障害とか病気と考えるべきものではありません。「どもり」ということばそのものを持たないアメリカ・インディアンのある種族では、どもりの子どもがいないといわれております。英国では、とつとつと、ややどもりながら話すのが紳士の嗜みの一つといわれているくらいです。

子どものどもりを心配して相談にくる親の多くは、叱ることが多く、几張面で完全主義的な育て方をしています。子どもがどもることを気にして、「ゆっくり話しなさい」、「息をゆっくり吐きながら話しなさい」などと注意して無理やり直そうとしたり、不快さを表情や態度に現してしまいます。このようにしていると、子どもはやがて自分の話し方が皆から不快に思われていることに気づき、話す前から緊張し、そのために一層どもってしまうのです。親から注意されないように上手に、完璧に話そうとするときの子どもの緊張と不安は、大変なものです。

もうお判りかと思いますが、どもっている子どもに、話し方についての注意を絶対にしてはならないのです。注意しないということは、ことばでいわないということのほかに、親の表情や態度にもあらわさないということです。子どもが話すのを無視したり、矯正するのではなく、ゆったりとした態度でごく自然に、こころゆくまで聞いてあげることが必要なのです。話し方が少しくらいあわてんぼうでも、幼稚園であったことをこころを弾ませながらいっぱい、楽しそうに話してくれることのほうがもっと大切なことなのです。

また、ご心配のように、妹の誕生が、この子どもにとってストレスになったのかもしれません。弟や妹が生まれると、一時的に赤ちゃんがえり(退行)をして、夜尿や日中のおもらしをしたり、どもったりすることがよくあります。心配することではありません。しかし、赤ちゃんが生まれることをどのように子どもに伝えていたのかが気になります。子どもなりに理解できる話し方で、きちんと説明しておくべきでしょう。お兄ちゃんになることの楽しみを、ゆっくり話してあげてほしいものです。

このほかにも、引っ越し、家族の病気、きつく叱りすぎた、お稽古ごとが多すぎるなどのストレスが、原因になることがあります。子どもは、不安をあらわすサインの一つとして、どもり始めるかもしれません。抱っこをしたり、一緒にお風呂に入ったり、楽しく遊んだりしてあげて下さい。

ほとんどの場合、小学校に入るころまでには普通にお話しができるようになります。しかし、どもりが長引いて子どもが気にし始めたり、家の外では話さなくなったりする場合、または小学生になってもどもっている場合には、ことばの専門家にご相談下さい。多くの小学校には「ことばの治療教室」があり、就学前の子どもも、専門の先生が相談に乗ってくれます。ストレスが強く、複雑な心理的な問題が関与していると考えられる場合には、児童精神科医にご相談下さい。日本では、まだ「児童精神科」の標榜が正式には認められておりませんが、お近くの児童相談所や教育研究所に訊ねると、その地域にどのような児童精神科医がいるのかを教えてくれます。

また、大人になってもどもりが続いているケースがあります。意外なことですが、雄弁家、政治家、落語家など、話すことを主とする職業に就いていることが多いのです。これまでのつらい経験を生かして、話すときのタイミングや調子の取り方などを工夫し、人々の心を惹きつける魅力的な独特の話し方を修得したのでしょう。まさに、「災いを転じて福となす」人々です。自信を持って下さい。


■自宅でレイプされました。犯人はとても憎いのですが、警察に訴えるといろいろ大変と聞きました。どうしたらよいのか教えてください。

相談

 23歳のOLです。今年の夏、自宅でレイプされました。思い出したくもないのですが、両親にも、友達にも、誰にも話せず、ご相談をお願いしたいのです。とても暑い日だったので、マンションのベランダを開けたままにしておいたのが間違いでした。寝ていたら、真夜中に男が忍び込んで来て、気がついたら手を縛られ、口をガムテープで張られていました。抵抗してもどうにもならず、そのまま朝まで何度も、何度も犯されました。いま思い出しても、地獄のような一晩でした。3階だったので、大丈夫と思っていたのが間違いでした。犯人はとても憎く、警察に訴えて捕まえてもらいたいのですが、訴えると、いろいろ根ほり葉ほり聞かれるのがイヤです。二度と思い出したくもありません。警察で証言しないで、犯人を捕まえてもらうという方法はないのでしょうか。
 それと、その日から、男性恐怖症になり、朝の通勤の地下鉄の電車にも乗れません。夜も眠れません。思い出すと身体が震えてきたりします。どうしたらよいでしょうか。


回答

 レイプの被害は、最近急増しているようです。しかし、その犯人はなかなか捕まらないのが実状のようです。ただ、一つ言えることは、こうした不特定多数の若い女性を狙うレイプ犯は、必ず反抗を繰り返しているという事実です。ですから、警察に被害を受けたことだけでも伝えておくことは重要です。そうしておくことは犯人逮捕の有力な情報を警察に授けることになるからです。ですから、詳しい調書を取られるのはいやでも、とりあえず、警察に連絡だけはしておくべきではないでしょうか。
 最近は、性犯罪相談所のようなものが警察内にもできているようです。 まず、そういうところに電話してみるのもひとつの方法です。あとは、産婦人科に行っておくことをおすすめします。万が一、妊娠でもしていたら早急に中絶しなければなりません。また、膣内に傷が入っていたりすると、思わぬ病気に罹患してしまうこともありえます。 ですから、産婦人科では、一応正直にレイプされたことを伝える方が賢明でしょう。 最近では、レイプ犯の手口も、巧妙化しているようです。 若い女性は、このような問題について、注意をしすぎていけないということはありません。

 もう一つの精神的、肉体的ダメージの相談ですが、一度、心身のダメージを計るテストを受けてみてはいかがでしょうか、その結果から、よりはっきりとした対処法が見つかると思います。


■毎日のように電車で痴漢にあいます。どうしたらいいのか教えてください。

相談


 16歳の高1です。朝、電車で30分ほどの高校に通っています。入学してしばらくしてから、朝の通学で毎日のように痴漢にあいます。電車を変えても、車両を変えても、同じです。同じ人に痴漢されることもあります。最初は、お尻を触られるくらいだったので、混雑しているのでしかたがないと思っていましたが、最近では、エスカレートしてきて、スカートの中や、パンツの中まで手を入れられて触られることもあります。また、夏は服の上から胸を触られたりブラジャーを外されたりしたこともあります。声を出したいのですが怖くてなかなかだせません。電車の中は本当に身動きができないほどすごい混雑です。どうしたらいいのか教えてください。

回答

 痴漢の被害は急増しています。いちばんいい方法は、勇気を出して痴漢の手をつかみ、「この人痴漢です」といって、大きな声を出すことでしょう。でも、それは、とっても恥ずかしいことかもしれませんし、叫んだのに、まわりの乗客は誰ひとり反応してくれない、ということも多分にあります。そうなると、逆に犯人の逆襲を招いて、「 いいがかりだ、名誉毀損だ、 」などと言われる可能性もないわけではありません。
 とにかく痴漢にあいたくないのなら、まず「 常習犯 」を退治することです。そのためには、まず、ボールペンのような先のとがったものを常時持っていて、痴漢にあったら、痴漢の手を思いっきり突くことです。痴漢は声をあげるわけにもいかず、すぐに手を引っ込めるはずです。そうしたことを繰り返ししていけば、常習犯は、「 あの子には手を出さない方がいい 」と思うようになり、痴漢にあうことも徐々に少なくなってくると思います。痴漢というのは、もともと気の弱い男です。ですから、女の子の方が、気の強いところを見せると、おびえて手がだせません。逆に、気の弱そうな女の子を見つけると、とことん餌食にしてやろう、と考えるものなのです。ですから、自分が気の強いところを見せつけること。これが一番です。
 とはいえ、若い女の子である以上、満員電車の中で、痴漢の被害を完全に防ぐことは難しいことも事実です。ですから、こうした防御法を身に付けて、すくなくとも「常習犯」の被害だけでもかわせれば、それだけでも、痴漢の被害から大幅に逃れられるはずです。
 もしどうしても、自分にはできない、ということなら、少し大変でも1時間くらい早い電車に余裕を持って、座って乗ることです。満員電車以外の電車なら痴漢に合うことは99%ないといえるでしょう。


■痴漢と間違われ逮捕された。

本当はやってないのに捕まってしまう痴漢冤罪(えんざい)は通勤サラリーマンにとって毎日の切実な問題だです。
ここ数年、痴漢犯罪の増加に伴い、冤罪のトラブルも多数報告されているようです。
ですが、実際に、「やっていない」と主張しても、裁判で無罪が認められたのはわずか10数件です。
もし、裁判で、無罪を勝ち取っても、その間、職を失い、家庭は崩壊し、夜逃げするような被害者もいるらしい。
当然、本物の痴漢行為は厳重に取り締まる必要があると思いますが、
痴漢冤罪(えんざい)は、へたをすれば、一生を台無しにする大変な問題です。
しかし、冤罪トラブルを防ぐ対策はないに等しいのが現実です。
「痴漢防止策に女性専用車両が導入されたのだから、男性にも冤罪防止用の男性専用車両を作ってほしい」という要望もあるが各鉄道各社とも「予定はない」らしい。

「冤罪ネットワーク」からのアドバイス
「痴漢冤罪を絶対に受けない方法は、実をいうとありません。極端な話、「電車に乗るな」、としかいいようがない
「示談金目当てに、ありもしない痴漢行為をでっち上げ、痴漢に仕立てあげる女性や女性グループ、カップルもいます。」
完璧ではないが「痴漢冤罪から身を守る5カ条」を実践すれば、トラブル回避の確率はグッと上がります。
それでも痴漢の疑いをかけられたときはどうする。
まずは冷静に相手と話すこと。怒鳴って女性を逆上させては話し合いが不可能になります
そして、次が重要で、「駅事務所に行っては絶対だめ」。
本当の痴漢は、すぐ逃げますが、かえって、やっていない人、痴漢冤罪者は、私は、だんじてやっていないと堂々と、駅事務所に向かい、
そして、無罪を主張し続けますが、警察が到着すると、警察官は、痴漢冤罪者の話など一切無視して、その場で犯人として断定し、現行犯逮捕されてしまいます。
その後は、無実を訴えても主張はまず99%、いや100%認められません。無罪を主張すれば、するだけ、拘留され続けます。
無罪を主張している間は、会社にも、家族にも、友人にも、一切連絡できず、社会から隔離され続けます。
つまり、会社は無断欠勤になり、欠勤が続けば問題がさらに大きくなり、欠勤の理由が「痴漢犯罪」ということがわかれば懲戒免職になる場合もあります。
そうならずとも、結果的に辞表を出すことになるサラリーマンは多いです。
だから、電車から降りたらその場で弁護士を呼んで、仲裁をしてもらう。
「現行犯逮捕されたら、運が悪かったとあきらめ、不本意ではあるが、警察の言われるまま、犯罪を認め、とにかくできるだけ早く、自由の身になる方法を見つける。
そして、事件があったこと事態を早く忘れる。
潔白であっても逃げるべき、潔白であるからこそ逃げるべき、と主張する人もいますが、
取り押さえられたときの言い逃れ、無罪主張は、100%不可能なので、おすすめはできません。
明日は我が身かもしれない痴漢冤罪、そうならないためには、公共交通機関を利用する際は細心の注意を払って乗ってください。
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「冤罪ネットワーク」電車内で痴漢に間違えられないための五カ条
@、ドア付近や車両の隅に立たない
A、つり革・手すりは両手で持つ
B、女性の側に立たない四、荷物は棚に上げる
C、誤解されるような態度を取らない




■人前で話ができない。

相談

普段は明るく快活で人前で話をするのも苦になりません。しかし、先日、友人の結婚式でのスピーチの時、倒れてしまうのではないかと思うくらい動悸がして、声もうわずってしまい、何を話したのかまったく覚えていませんでした。それ以来、人前で話すときはいつもそんなふうになってしまいます。なぜなのか教えてください。(24歳男性)

回答

いくつかの病気(病的状態)が考えられます。
一つは、「不安神経症」という病気です。その日の体調が悪い場合、たとえば風邪気味とか、睡眠不足であったとかで、話している途中で気分が悪くなることがあります。そのときの部屋の換気が悪くて、暑苦しく、気分が悪くなることもあります。このようなときに、頭の中が真っ白になり、ボーとして何を話しているのかわからなくなり、とても恥ずかしい思いをすることがあります。
 非常に真面目で、なにごともきちんとしなければ気が済まない完全主義的な人は、このような恥ずかしい体験にとらわれてしまい、同じような状況になったらまた失敗をするのではないかと不安になります。この次は、体調が悪くなくても不安が先に立ち、人前で話すことができなくなることがあります。これが不安神経症の予期不安といわれる状態です。
対策としては、自分が今後、同じように人前で話しをしなければならないとしても、同じように苦しくはならないことを銘記することです。それでも、不安が続くようでしたら、精神科を受診して、軽い安定剤や抗うつ薬を処方してもらい、不安になったときにどのように対処したらよいのかを具体的にご相談下さい。比較的簡単に症状はとれます。治療を続けているうちに、自分の状態がわかるようになり、不安になったときにどうすれば良くなるのかというコツを会得するようになります。不安になりそうなときに、安定剤を頓服として飲んでいる方もたくさんいます。

二つ目は、ふとしたきっかけで、人前で話すことができなくなる「対人恐怖症」という病気です。身内や親友のような本当に親しい人、または、まったく関係のない人々の前なら平気で話ができますが、会社の同僚とか、クラブのメンバーなどのように、中間的な距離の人たちの前では、自分がどう思われているのかとても気になる状態です。
 対人恐怖症になる人は、融通性が乏しく、何ごとにつけても「だいたいこんなものだ」と割り切れないタイプの人にみられます。人前で話すときに、声が震えるのではないか、お酌をするときに手が震えるのではないかと不安になったり(振戦恐怖)、人前に出ると顔が真っ赤になり、不快な印象を与えるのではないかと不安になったり(赤面恐怖)します。どの症状も、日常生活ではごく当たり前にみられる生理的状態の変化なのですが、それを特別のものと考えてしまいがちなのです。
 このような状態は、本人には大変苦痛ですが、家族を含めまわりの人には到底理解してもらえません。多くの場合、どこで相談したらよいのかわからず、一人で悩んでしまいます。最近は、このような症状によく効く安定剤がありますので、精神科医に気軽にご相談下さい。大切なことですが、薬を飲むと同時に定期的に精神療法(カウンセリング)を受けて下さい。

 このような状態は多かれ少なかれだれにでもあることだし、自分が気にしているほどにはまわりの人々は気にしていないことをよく理解してください。


ヘルスサイエンス「心の健康相談室」

(続く)






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