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性(SEX)養生の法(1)



「 性養生(ようせい)の法とは、セックス、つまり性生活に関する養生法のことです。」


 「性養生の法」というのはセックス、つまり性生活に関した養生法のことです。セックスを医学の一分野としてとらえているところは東洋医学の独特なところで、西洋医学にはまったく存在しないところの発想です。 東洋医学は、自然と人間の調和を基本として、我々の日常生活の中から生まれてきたものですから、食べたり、眠ったり、動いたり、考えたりすることと並んで、セックスすることも、当然、養生思想に含まれ、りっぱに医学の対象となるわけです。 ところが、養生医学の育たなかった西洋医学では、セックスに関しては、機能上の異常が現れて始めて治療の対象になるものの、健康とか、不老長寿とは決して関わってこないのです。

 反対に東洋医学ではセックスすることは、生命の誕生を意味し、生命の根元である「先天の気」と結びつけられて重要視されてきました。

 「気」の概念は「陰陽五行理論」と併せて、東洋医学の基本であって、「気」なくして東洋医学を語ることはできません。 「気」の存在はいまだに現代科学で証明されていませんが、私たちは何となくその存在を理解しているよです。たとえば、「人間の元気」とか、「気に入った」とか、「気のぬけたビール、気のぬけたコーラ」など、自然に私たちは「気」という言葉を使っています。しかし、これが具体的に何を意味しているのかうまく説明できません。 東洋医学の古典にも、「気とは、形がなくて、働きだけあるもの」「気とは生命力とも解される」「身体は気と体から成り立っている。体は一個の物体で、それが生きていることは気によるものである。もしも、人間から気がなくなれば、体という物体がのこるだけである」「生物と無生物とは気があるかどうかによって区別される」など、いろいろと解説してあります。

 『黄帝内経』には「病は気から生じる」という言葉があります。ところが、この気に、陰の気と陽の気があって、陰陽の気の不調和が病気である。とか、また、気が体中に過不足なく円滑に循環している場合を健康、過不足があったり流れに停滞のみられる場合を病気と説明しています。 そして気には「先天の気」と「後天の気」とがあり、先天の元気は、親から受けるものであり、後天の元気は、生まれてから呼吸や飲食によって得るものとされています。

 従って、先天の元気を産み出す "セックス”は養生医学の中で非常に重要な位置をしめるわけです。 そして、養生医学では、両親から受ける先天の元気は、「精(男は精、女は血)」と呼ばれ、この精こそ、その人の一生を左右する大切なものであるから、この精を次代に受け渡していくセックスは十分に心をこめて行わなければならないし、みだりに用いれば精を浪費することになって、自分の生命を縮めることになる。としています。

 養生医学の性養生の法の古典には、『素女経(そじょきょう)』『素女方(そじょほう)』『玉房秘訣(ぎょくぼうひけつ)』『玉房指要(ぎょくぼうしよう)』などがありますが、いずれも房事疲労(セックス疲労)を重要視していて、過度のセックスは、さまざまな病気を引き起こすことになり健康を害する。と指摘しています。 そして、その第一の警告信号は「めまい、ふらつき」であるとしています。

 具体的には、セックスには「8つの益と7つの損」があるとして、セックスする時は、男女の気の調和とそれに合った体位をとることが重要であるとして、それぞれの状況下での養生の方法がうまくまとめられています。 また、過度のセックス、セックス疲労をしてしまった時の養生の方法に関しても、食物、鍼灸・指圧、漢方薬をもって回復する方法が記載されています。

 いずれにしても、養生医学では「人間には、セックスは必要であるが、心のおもむくままにしてはいけない」としているようです。

 また、東洋医学の古典の中に登場する歴代の名医はみな長寿で、房中術(性養生の法)にたけていたという記録があります。 その中で、歴代最高の長寿は、有名な殷の時代の名医で仙人とも呼ばれた「彭祖(ほうそ)」で、なんと800歳まで生きたことになっています。これは、かなりオーバ−かもしれませんが、彭祖は、自分自身の医学の中で、養生医学を一番重んじ、中でも「房中術」の天才であったとのことです。 聖書の中にも800歳以上生きた人間の記録がかなり残っているのでひょっとすると本当のことなのかもしれません。

                                  

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